このタイトルの言葉は、フェイスブックのCEOのマーク・ザッカーバーグ氏の言葉とされています。同社の理念である“Hacker Way”の中にも同じ言葉が現れます。
趣旨は至ってシンプルです。完全な計画を立てて、あちこちに根回しをして誰からも反対が出ないようにしてから物事を進めるのではなくて、とにかくやってみて、一定の成果を出す。そこから学習して完成度を高めていくというやり方の方が、最初からいたずらに長い時間をかけて完璧を目指すよりも、ずっと効果的だし重要であるということです。これは近年注目を集めているリーンスタートアップのベースとなる考え方でもあります。
リーンスタートアップの本当の意味とは?
リーンスタートアップでは、まず最低限の要求を満たすMVP(Minimum Viable Product)と呼ばれるプロトタイプ製品を作ります。そして、ユーザーの反応から得られたフィードバックをもとに、事業アイデアや製品スペックの改良・軌道修正を図っていくのです。
成功にむけて過度に大きな投資をするのではなくて、最小限のプロセスを繰り返して、素早く学習をする点がポイントです。
ところで、何故人間は完璧、あるいは完璧とは言わないまでも、最初からより高い完成度を目指すのでしょうか?典型的な理由としては次のことが考えられます。
・失敗すると人事考課上マイナスなので、それを避けたい
・完成度の高い計画が無いと進める際に不安を感じる
・反対者が多い段階で進めると、トラブルが起こった時に収拾しづらくなる
このように考えると、最初から完璧を目指すというのは人間の性とも言えそうです。しかし、新事業は基本的にわからないことだらけです。やってみて初めて発見する事実も多いでしょう。そう考えると、新事業については、完璧な計画や根回しなどは有り得ないのです。
特に不確実性の高い現代においては、その傾向は一層高まっていると言えます。商材や事業の特性にもよりますが、スピード重視で「まずはやってみる」という姿勢が、現代では成功に結びつきやすくなっているのです。
早く、低コストで失敗しろ
大きな設備投資など多額の投資をしてから失敗が判明するというのでは企業にとってダメージが大きすぎます。特にイノベーティブな製品開発や事業開発については、失敗のコストが高すぎるとイノベーションへの挑戦の回数が限定されることにも繋がりかねません。
このタイトルの言葉は、それを避けるべく、失敗をするならなるべく早く、かつそれほど投資もしていない段階でする方がいいという趣旨のものです。上で紹介した、リーンスタートアップにも通じる考え方です。
◆低コストで失敗したほうが成功が早い
リーンスタートアップは、成功への時間を短縮すべく「早く」を特に重視しますが、「低コストで」も実現できれば、全くの失敗だったとしても、次なるイノベーションに挑戦する時にも予算的な制約がかなり緩和されるのです。
例えば、医療品の開発は、数十億円、数百億円も開発費をかけた挙げ句、開発プロセス後半の臨床試験の段階で失敗(重篤な副作用)が見つかることが少なくありません。
これでは非効率的ですから、医療品メーカーは、開発初期の段階でそうした副作用を引き起こしかねない不適切な候補化合物を排除する技術を色々と模索しているのです。
◆方向転換は見極め次第
そして、実務的に難しいのは、実際に失敗したのか、それとも工夫すればまだ成功できるのかを見極めることです。
リーンスタートアップに対する批判の一つとして、「安易に諦めてしまい、すぐにピボット(方向転換)する」というものがあります。ピボットは確かに必然として行わなくてはならない場合もあるのですが、安易にピボットばかり繰り返していると、かえってスピードも削ぎますし、無駄にコストが膨らんでしまう可能性も高まってしまいます。
完全な失敗であれば判断は容易なのですが、現実は往々にして微妙な状況に陥ります。
そういった時に、微調整で前に進むのか、それともやはりピボットして新しい道を探るのか…これについてはまだ決定的な方法論は確立していません。新事業推進者としては、まさに考え抜く必要がある場面となります。
*参考リンク:あなたにおすすめの記事_広報戦略で日本全国を制覇する方法を解説
まとめ 結論はまずはスモールスタートでやってみる
まずはやってみることが重要であるということを学びました。そして、イノベーションは難しいからこそ工夫が必要であるということを学びました。
Source: PR会社でナンバーワンを目指す!上岡正明オフィシャルブログ